大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和45(あ)944 判決

主 文

原判決中「当審における未決勾留日数中五〇日を原判決の本刑に算入す

る。」との部分を破棄する。

検察官のその余の部分に対する上告および被告人の本件上告を棄却する。

理 由

検察官の上告趣意について。

記録によれば、被告人は、本件窃盗(第一審判決判示第三)の事実につき起訴前

の昭和四四年一〇月三〇日勾留状の執行を受け、その後一、二審を通じて引き続き

勾留されていたものであるが、これよりさき同四一年三月一二日、被告人は、東京

地方裁判所において窃盗、傷害罪により懲役二年に処し、四年間右刑の執行を猶予

しその期間中保護観察に付する旨の言渡を受けたのであるが、同年一一月七日右執

行猶予が取り消されたため、同四三年一月二三日からその刑の執行を受け、同四四

年一月一三日仮出獄を許されたけれども、同年一二月五日仮出獄を取り消されて残

刑の執行を開始され、その後引き続き原判決にいたるまで右刑の執行中であつたと

ころ、被告人は、本件第一審判決に対し同年一二月二〇日控訴を申し立て、原裁判

所は、同四五年四月六日右控訴を棄却するとともに、原審における未決勾留日数中

五〇日を一審の言い渡した本刑に算入する旨の判決を言い渡したものであることが

認められる。

そうすると、被告人に対する原審の未決勾留の全期間が、右確定判決による残刑

の執行と重複することになるから、原判決中原審の未決勾留日数を本刑に算入した

部分は、論旨引用の当裁判所の判例に反して刑法二一条を適用した違法があり、こ

の点に関する論旨は理由がある。

弁護人田原五郎の上告趣意第一点は、憲法三一条違反をいうが、実質は単なる法

令違反の主張であり、同第二点は、量刑不当の主張であつて、いずれも適法な上告

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理由にあたらない。

よつて、刑訴法四〇五条二号、四一〇条一項本文、四一三条但書により、原判決

中「当審における未決勾留日数中五〇日を原判決の本刑に算入する。」との部分を

破棄し、その未決勾留日数を算入しないこととし、原判決のその余の部分に対する

検察官の上告は、上告趣意としてなんらの主張がなく、したがつてその理由がない

ことに帰し、被告人の本件上告は全部理由がないから、同法四一四条、三九六条に

より右各上告を棄却し、訴訟費用は、同法一八一条一項但書により被告人に負担さ

せないこととし、裁判官全員一致の意見により、主文のとおり判決する。

検察官河井信太郎 公判出席

昭和四五年一一月一二日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 岩 田 誠

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 長 部 謹 吾

裁判官 大 隅 健 一 郎

裁判官 藤 林 益 三

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